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公開日:2015

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感動の小説アクション。死亡フラグをへし折るRPG まず人間のタネである一粒の細胞が、すべての生物の共同の祖先である微生物の姿となって、子宮の内壁のある一点に付着すると間もなく、自分がそうした姿をしていた何億年前の無生代に、同じ仲間の無数の微生物と一緒に、生暖かい水の中を浮遊している夢を見始める。その無数とも無限とも数え切れない微生物の大群の一粒一粒には、その透明な身体に、大空の激しい光を吸収したり反射したりして、あるいは七色の虹を放ち、または金銀色の光れる身体になりたいと一所懸命に祈っていると、そのお陰で、小さな三つ眼の蜥蜴みたようなものになってチョロチョロと陸の上にはい上ることができた。 どうも驚いた。庚戌会と言えば謹厳な学術の報告会、兼、茶話会みたようなものと思ったが、なかなかどうしてエライ景気だわい。会費の十円の意味も読めるし、幹事の白鷹君の隅に置けない手腕のほども窺われる。こんな事なら鹿爪らしいフロック・コートなんか着て来るんじゃなかったと思ううちに待合室みたような部屋へ案内された。見ると周囲の上までも帽子と外套の推積で一パイである。かれこれ五、六十人分はあるだろう。大会だけによく集まったものだ。